2017-01-01から1年間の記事一覧

恐怖はどこからやってくる?(無)意識とアメリカン・ゴシック/Emily Dickinson, 'One need not be a chamber to be hauted'(少しだけ映画『ゲット・アウト』)

エミリ・ディキンソンの詩でまた好きなものを一つ。翻訳するだけしてずーっと温めてたやつ。 エミリ・ディキンソン「取り憑かれるのに部屋である必要はない」 取り憑かれるのに部屋である必要はない、 家である必要はない、 だって脳には物質的な空間に優る …

Blythe Baird, 'Pocket-sized Feminism'(2017年12月①)

最近ちっとも詩が読めていないし翻訳もできていないので、以前ツイッターで紹介したら少し反響があったこちらを全文訳してみようと思います。ちなみに実際のパフォーマンス(slam poetry)では使われている言葉が少し違ったり、テクストにはない表現が含まれ…

Warsan Shire, 'Backwards'(2017年7月①)

人生が過去から現在未来へと無情に流れていく時間の堆積である以上、いかに時に抗うかは常に詩人の命題の一つであり続けるだろう、というような話を再び。 ワーザン・シャイア「後ろ向きに」 サーイド・シャイアへ後ろ向きに部屋へと歩いてくる彼の姿で詩を…

映画『メッセージ』と、言葉、詩、物語

映画の内容・テーマにがっつり踏み込んでいますのでご注意ください。それ以外で言えることはメガネのレナーさんがめちゃんこかわいいということくらいです。 "We spend our entire lives trying to tell stories about ourselves [...]. It is how we make l…

人生を物語れ/『T2 トレインスポッティング』

「物語ること」についての物語はいろいろありますが、これもまたその一つであるとは見る前は想像していませんでした。 (以下、内容結末に触れています。) 90年代後半に一大ムーブメントとなった『トレインスポッティング』から20年、続編の『T2 トレインス…

Lily Myers, 'Shrinking Women'/スポークン・ワード・ポエトリーを体感する(2017年3月①)

今年は最低月に一本はコンテンポラリーな詩の翻訳をしたいと思っていたのに先月思いがけず忙しくて手がつけられず、今月も気づけば終わりがすぐそこに見えてきてしまいました。。が、ちょっと前になかなかいいスポークンワードの詩を見つけたので、訳してみ…

「新しい失敗」こそ進歩の証/"Try Everything"を助動詞にこだわってネチネチ読んでみる

タイトル通りの内容です。一つの歌詞をネチネチ読み込むという完全に趣味の投稿になりますが、昨年ツイッターでちまちま書いていたことをまとめたものになるので、よかったら読んでみてください。なぜ今頃こんな記事を書くかというと、単純に自分の気分がの…

We need a new song/神話の語り直しとしての『モアナと伝説の海』

いよいよ日本公開された『モアナと伝説の海』見てきました。 近年のディズニーは自分たちが作ってきた「プリンセス像」をアップデートし続けていて、今作もその系譜に連なる一作。ですが、わたしは今回ちょっと視点を変えて、プリンセスものとしてではなく、…

Sarah Howe, 'Tame'(2017年1月①)

昨年秋に購入してからなかなか読めていないサラ・ハウ(Sarha Howe)の詩集Loop of Jade(2015年のT.S. エリオット賞受賞作!)より1篇訳してみたいと思います。本当は最後まで読みきってからレビューしようと思ったのだけど、それだといつまでかかるかわか…

Day 3: My 1st diaversary, or a diagnosis story

Let me talk about this topic in English, even though it might prevent people who visit the blog from reading this post. After getting type one diabetes, I became even more eager in learning the English language because I wanted to be able …

Top 5 Films in 2016(好きだった2016年の新作映画)

あけましておめでとうございます。気づけば2017年が始まってしまいました。昨年後半はブログを本格的に再開し、思いがけずいろいろな方に読んでいただける機会に恵まれ、書いていて非常に楽しい下半期でした。まあ年末にかけてほとんど書けなくなってしまい…