Top 5 Films in 2016(好きだった2016年の新作映画)

あけましておめでとうございます。気づけば2017年が始まってしまいました。昨年後半はブログを本格的に再開し、思いがけずいろいろな方に読んでいただける機会に恵まれ、書いていて非常に楽しい下半期でした。まあ年末にかけてほとんど書けなくなってしまい相変わらず自分は勤勉さに欠けるなあと思うのですが、趣味でやってる以上自分が楽しく書けるのが一番なのでね。今年もちまちま書いていくと思うので、よかったらお付き合いください。

 

 

前置きが長くなりましたが(なぜなら無計画に書いているから)、本題の2016年ベスト映画5本いきたいと思います。母数が少ない上に、評判のいいもの中心だったのでどれもだいたい気に入ってるんですけど、一応昨年日本で公開(Netflix含む)されたものから5作特に好きなものを選んで軽くコメントします。

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  1. 『ディア・ホワイト・ピープル』
  2. 『シング・ストリート 未来へのうた』
  3. ズートピア
  4. スター・トレック BEYOND』
  5.  『メカニック:ワールドミッション』

 

ベスト4まではすんなり選べたのですが、5番手を選ぶのに難儀しました。特に『ディア~』や『シング・ストリート』と対になっていると言える『DOPE/ドープ!!』を入れるべきかどうかでかなり悩んだのですが、最終的にせっかくならわたしらしいのがいいよね、と思って『メカニック』にしてしまいました。

 

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 上で書いたように、めちゃくちゃだけど『スカイフォール』パロディとしてどうにか機能している本作はアクションスター、ジェイソン・ステイサムの生まれ直しを徹頭徹尾イサムてんこもりで祝福する最高の一作です。

4位は『スター・トレック』新作を。ソフィア・ブテラ演じるジェイラのアクション、彼女とサイモン・ペグ=スコットとの友情、カーク・スポック・マッコイのトライアングル、合言葉のLet's make some noise!などなど、最高だった箇所を断片的に挙げてくだけでもキリがないんですが、ストーリー自体は現代版にアップデートされた古典的アメリカン・ナラティブ=mobility(移動性・動き続けること)のお話であったように思います。mobilityはフロンティアを求め開拓を続けてきたアメリカ社会伝統の価値観・精神性なわけですが、『ズートピア』のような映画が撮られるようになった現代のコンテクスト(ちょっと後述しますけど)に沿えば、それは"try everything"し続ける精神とも呼応するわけで、実際この『スター・トレック』もいろいろな試みや多様な社会の表現(スールーの同性婚やあらゆる種族から形成される共同体とか)がありますよね。今回カークやスポックが直面する「この旅を続けることに意味はあるのか?」という問いは彼らの私的な領域を超えて、「終わらない旅/試みを続けること」それ自体の物語として様々なレベルで読むことができるのがいいなと思ったのでした。

長くなってしまったのでさくさくいきたい。3位『ズートピア』は好きというよりも、こういう映画をディズニーが撮ってくれたということもあり、わたしのなかである種のスタンダードになった作品です。ツイッターに以前書いたことをそのまま書きますが、この映画、そして主題歌"Try Everything"の好きなところは、トライする以上失敗は避けられない、と差別的な言動をとったり偏見を持ってしまったりすることへの「許し」がある点。多様な社会には多様な意見や利害があり、絶対の正解なんて存在しません。だから誰だって間違いうるけれど、それで終わりじゃない。むしろそこからがスタートなんだと後押してくれるこの映画は十分に正しくはないかもしれないけれど誠実であると思います。

2位『シング・ストリート』は昨日サントラを聴き直しはじめて、やっぱり最高だなあと急浮上した一作。ジョン・カーニーは前々作『ONCE ダブリンの街角で』と前作『はじまりのうた』である男女が再スタートを切るために期間限定のボーイ・ミーツ・ガールを果たす話を描いていて、主人公らには最後に戻るべき現実や関係性がありましたが、ティーンの物語である本作ではボーイ・ミーツ・ガールが期間限定のものではなく、その後にも踏み込まれていて、夢が夢で終わらず広がっていくファンタジーの色合いが濃くなっています。あんまり書いてしまうとだいぶネタバレになるので難しいんですが、最後に流れる"Go Now"という曲は『ONCE』主演のグレン・ハンサードと『はじまりのうた』で好演していたアダム・レヴィーンの合作で、アダムが歌っています。これを知ると、ああやはり『シング・ストリート』のラストは過去作あってのものなんだなあ、グレンとアダムが背中を押してくれているんだなあと感慨深くなります。 

1位はですね、Netflix配信の『ディア・ホワイト・ピープル』です。10月にいよいよネトフリ様に加入してしまい、見たいものが多すぎて逆にてんやわんや、今もまったく使いこなせてなかったりするんですが、加入時のお目当ての一つがこれでした。テーマとしては『ズートピア』なんかと相通じていて、人種・性・階級・趣味・能力etc.が複雑に入り組んだ多様な社会では誰もかれも白であり黒であるということを、矢継ぎ早に問いを投げ、変容しつづける多層・多面体の社会の動きを止まることなく追い続けることで容赦なく語り切った、もう圧巻というほかない映画。新しいけれど、若者たちが「自分ってなに?」を探す青春映画のフォーマットもきっちり押さえていて、クライマックスにパーティーを設定し、学園ものとして着地する手さばきもお見事でした。スピード感あるダイアログが気持ちいいので、たまにiPhoneで断片的に好きなシーンだけ見たりしています。

  

以上、昨年のお気に入り映画5本でした。今年はもう少し見る本数を増やして年末にベスト10を選べればいいな(あくまで希望的観測)。それと昨年は当日にチケットを譲っていただいてという形ではあったものの、初めて東京国際映画祭に行きました。今年は自力で映画祭もいくつかチェックできれば、と思います。